印刷用語

カラーチャート
プロセスカラー(CMYK形式カラー)を使って色の掛け合わせを変えて(例えば各色の網点%を10%ずつ段階的に変えていく)印刷した一覧表で、色見本帖の一種です。欲しい色をカラーチャートで探し、各版の網点%を調べることができます。

掛け合わせ(カケアワセ)
カラー印刷などで2色以上のインキを刷り合わせて必要な色を出すことをいいます。シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色を掛け合わせて色を再現することをプロセスカラーといい、インキ自体を調合して色を表現することを特色=スポットカラーといいます。

特色
(1)通常のプロセスインキ4色だけでは原色の色の再現が困難な場合に、追加される色のことです。緑・紫・青・セピア・金・銀などが主な色です。

(2)もっとも良い印刷効果を出すように設計された色です。小面積に多彩・新鮮な印刷が要求される小切手や、同一の色が広い面積を占め、高い印刷効果を要求される建築材分野、包装分野の印刷などによくもちいられます。

色見本(イロミホン)
印刷工程に対して、「濃い赤」とか「薄い赤」などの言葉による色の表現では、製作者が意図した色で印刷物を作ることができません。そのため参考となるサンプルを用います。これを色見本といいます。色見本はカラーチップや過去の印刷物、カラープリンタでの出力物などを使うことがあります。

印刷
画像、文字などからなる原稿をもとにして印刷版をつくり、これに印刷インキなどの色材を与え、印刷機械によって圧力を加えて、紙などの被印刷物に原稿の画像、文字などが大量複製する技術のことです。原稿、印刷版、印刷機械、色材、被印刷物の五つが印刷を構成する用件です。古代中国で木版印刷は発明されていましたが、近代印刷技術は1450年ごろドイツのグーテンベルク(Johann Gensfleish Gu tenberg)が活版印刷技術を発明したことに始まるとされます。製版方式により、活版(凸版)、平版、凹版、孔版などに分類されます。近年では、インクジェット方式や電子写真方式など、印刷版をもちいずデジタルデータから直接印刷する方式も登場し、オンデマンド印刷等にもちいられています。

印刷インキの種類
・酸化重合タイプ
枝葉のコート紙やアート紙への印刷に用いられます。平版インキや凸版インキがこれに相当します。乾性油を主成分とするインキの印刷面に、空気中の酸素が吸収されてビヒクル分子をつなぎ合わせ、綱状の巨大分子として乾燥膜を形成します。

・蒸発タイプ
オフ輪印刷やグラビアインキのように、インキが被印刷体に転移した後、加熱によりビヒクルが蒸発して、固形膜を形成するタイプをいいます。

・浸透タイプ
新聞インキのように、インキが被印刷体に移転した後、ビヒクルが被印刷体の中に浸透して、個性膜を形成します。

・紫外線軟化タイプ
UV(紫外線)インキのように、特定のエネルギ分布をもつ光を照射させることによって、科学変化を起こして乾燥するタイプです。

・耐熱性タイプ

フレキソ印刷やグラビア印刷によるパッケージは、内容物の充填工程において、熱板によってインキ面に熱がかかるので、このような熱に対して耐性をもったタイプです。

・耐光性タイプ
屋外で使用するポスターのように、長時間太陽光にさらしておいても、退色(変色)しにくいタイプです。

・耐摩擦性タイプ
段ボールやカートン等は、輸送のときに相互に擦られる可能性が大なので、このような摩擦があって損傷しにくいタイプです。

・耐薬品性タイプ
薬剤、化粧品、食品のパッケージのように、酸やアルカリ、アルコールやパラフィン等に対して、退色・変色・溶解しにくいタイプといいます。

オフセット印刷
印刷インキを版から(Off)し、ゴムローラー(ブランケット)などに転写した後、紙などに固定(Set)する印刷方式です。厳密には、パッド印刷などもオフセット凹版印刷と表記し、通常オフセット印刷と呼ばれている印刷方式は「平版オフセット印刷」とするのが正式な名称になります。だが本書中では一般的な理解に合わせ、平版オフセット印刷をオフセット印刷と表記しています。また、ほかの印刷方式についても一般的な標記を採用しています。

活版印刷
凸版印刷の一つで、活字を用いて作成した版で印刷する方式です。名刺やはがきなどの一部に使用されていましたが、デジタル化の進展に伴って、ほぼ使われなくなっています。

グラビア
凹版印刷の一種です。軟包装、紙器などの印刷に用いられます。版の凹部の深さで付着インキ量を制御できることから、最近は塗布や配線パターンの印刷にも用いられています。

パッド印刷
凹版にインキを流し、転写体(パッド)を接触させてインキパターンを転写し、被印刷物に転写体を接触させてインキを転写する印刷方式のことをいいます。ゴルフボールなどの曲面印刷に用いられています。タコ印刷ともいいます。

発泡印刷
熱により発泡する材料を用い、表面に凹凸のある形状を作成する印刷方式です。印刷インキに発泡剤を入れて印刷する方式と、紙自体には発泡剤を入れ、印刷部を膨らませる方式があります。床材(クッションフロア)などの建材で用いられています。

ポリエチレン印刷
インキの付着が悪いので、熱処理やコロナ放電など前処理をしてからグラビアで印刷でします。

ビニール印刷
グラビア方式の専用印刷機を用います。溶剤は塩化ビニールが一般的です。

セルロイド印刷
ほとんどオフセット印刷で、ブリキ印刷機を用い1色ごとに乾燥させます。

木目印刷
紙、または塩化ビニールのフィルムに印刷して貼る場合と、化粧ベニヤ・メラニン・ポリエスチル・鉄板などにじか貼りする場合があります。じか貼りは、この種の材料製造の一貫作業ですから、一般の印刷所では取り扱いません。紙や塩化ビニールフィルムの場合は、すぐれた木目を原稿にしてグラビア製版をし、連続模様で巻取紙に印刷していきます。

セロハン印刷
普通はグラビアを用います。アニリン印刷でも刷れますが、大量良質なものには向きません。

転写印刷
金属製品に商標を入れたり、陶磁器の絵つけに用いられるもので、移しえの要領で紙の上に水に溶けるのりをひき、その上に樹脂溶液とかワニスを塗って膜を作り、この膜の上に印刷し最後に不透明白インキをベタ刷りします。転写する器物の表面にニスを塗り、それが乾きだしたころ、水に浮かべておいた転写紙を貼りつけて、台紙をはがします。

繊維品の印刷
捺染(なっせん)印刷といって、のりと染料をまぜて印刷し、あとでのりを洗い落とすのですが、色材にのりを含むため、へこみの深さに問題があって普通のグラビア製版ではむずかしいようです。

フォーム印刷
事務機、コンピュータの発達で事務用に用いる連続伝票の需要は増大しています。ケイや文字の印刷のほか、切り離すためのミシン穴、事務機を通すためのリード穴、あとでファイルするためのファイル穴が必要で、長巻きのカーボン紙と重ね合わされることもあります。凸版方式とオフセット方式とがありますが、わが国では主に凸版式が用いられています。

カーボン印刷
複写伝票の裏面にカーボンを印刷します。常温では固形で加熱するとやわらかくなるコールドセットインキを用いることが普通で、版式はグラビアと凸版があります。凸版にはコールドセットでない特殊なインキを使用する方法もあります。

シール印刷
シールは印刷と同時に、打抜きや浮出し加工が行えるように設計された、凸版のシール印刷機が用いられます。

磁気印刷
電子計算機の入力装置が読みとれるように、磁性の粉末をまぜた陰気で印刷します。人間には読めなくても機械が読みとれれば良いわけですが、機械も人間も読めるように工夫された独特な書体が用いられています。

ナンバリング印刷
小切手や切符の番号などは、同じ数字で印刷できず、一枚一枚通しナンバーになっていなければなりません。そのような目的で作られたのが凸版方式ナンバリング印刷機です。

製袋印刷
定型サイズの封筒は用紙の打抜き・のり付け・貼り・印刷を一貫してできる製袋印刷機があります。特殊サイズの場合は、手ばりしたものに凸版印刷をすることになりますので、できれば定型サイズを用いると経済的です。

盛上げ印刷(浮出し印刷)
凹版のインキを盛り上げて刷ったり、粘着く性の強いインキで刷り、樹脂を盛り付けて加熱固着させたりする方法で、画線部を盛り上がらせます。レターヘッド・名刺などに用いられます。

植毛印刷
ラシャのようになっています。特殊インキで凸版印刷を行い、乾燥しないうちに、細かい繊維の粉末をふりかけます。

立体印刷
物が立体的に見えるのは右目と左目の視差(目の距離だけ同一の物体が違って見える)のある画像を見ているからです。特殊なカマボコ型のレンズの役目をするプラスチックの膜を印刷物の表面に貼り付けて、右と左の目がそれぞれ視差のある画像を見るように設計されています。POPやパッケージなどに利用されています。

レリーフ印刷
油絵のタッチや絵の具の盛り上がりを、プラスチックで成形し、その被膜を印刷物の表面に張り合わせると、さながら油絵の質感が出てきます。このような絵画の複製をレリーフ印刷といっています。
コピー機などの発達によって謄写印刷やタイプ印刷(タイプライターで製版用原紙に直接印字する)は殆ど専門業者としては姿を消し、ダイレクト印刷やPTO印刷に移ってきました。

ダイレクト印刷
原稿から直接版材に焼きつけて製版する方法で、

銀塩法:銀の感光性を用いる写真的方法

静電法:静電気で帯電した部分にトナーを吹きつけて画像をつくる方法が用いられています。中間のネガフィルムを必要としない簡便さから、コストも安く、品質では多少劣るにもかかわらず、多くなる傾向にあります。

PTO印刷
Pは写真、Tはタイプライター、Oはオフセットの意味を組み合わせたことばですが、タイプライターとは限らず、写植も含めて、原稿からネガフィルムを撮り、PS版に刷判製版する方法をPTOと言っています。

スクリーン
スクリーン印刷で用いられる版のことをいいます。材料としてテトロン、ナイロンなどの化学繊維、ステンレスなどが用いられています。

熱転写
熱によりインクリボンのインクを溶融させ、インクを紙に転写させる記録方式。主にFAXやワープロ用に利用されていました。

顔料
着色用の色素で、水や油には溶けずに、溶媒に分散させて使用されます。耐光性が高いことから屋外で使用される印刷物などに使用されます。

サーマルプリント
特殊な紙(感熱紙)に熱を加えて直接記録する印刷方式です。FAXの記録方式として普及した他、POSレジや自動販売機などにも広く利用されています。

湿り水
オフセット印刷で、刷版の非画像部に付けられ、印刷インキをはじく役割を持った弱酸性の水のことをいいます。

染料
着色用の色素として水や油に溶ける染料を用いたインクのことです。発色が良いため写真印刷などに利用されるが、にじみやすく耐光性も弱いという欠点があります。家庭用インクジェットプリンタ用インクの主流となっています。

大豆油インキ
大豆油から作られる油性インキのことです。一般の印刷インキに使用されている石油系有機溶剤の一部を大豆油に置き換えて作られます。ソイシールを使用するためには、枚葉インキでは、調合インキ全重量の20%以上が大豆油または大豆タンパクである必要があります。

特色
標準的なY、M、C、Kの4色以外に特別に調色された色インキのことをいいます。菌、銀などのメタリックな色やパール、蛍光色などの他、特別に用意されたロゴマーク色などがあります。

プリント
版と印刷機を用いて大量に複製する印刷に対し、版を使わず一枚ごとに異なる内容で作成可能なものをいいます。

フレキソ印刷
凸版印刷の一方式です。版材としてゴムや樹脂が用いられ、印圧が低いことから、比較的強度の弱い段ボールやトイレットペーパーなどの印刷に使用されています。

枚葉機
オフセット印刷で、シート(枚葉)を印刷する印刷機のことをいいます。様々な厚さの紙に対応可能で、菊全機、菊半機など、印刷可能なサイズに応じた名で呼ばれます。

水なし平版
オフセット印刷で、湿し水の代わりにシリコンゴム層を用いた版のことをいいます。イソプロピルアルコール(IPA)などの有害物質を含む湿し水を使用せずに印刷できます。

輪転印刷機
円筒形の版胴・圧胴、あるいはゴム胴の間で圧をかけ、回転することにより印刷する機械のことです。略して輪転機と称することが多いです。

オンデマンド印刷
データーベースなどに蓄えられたデーターを、必要なものを必要なときに必要な量だけ印刷することをいいます。プリプレスに端を発したデジタル化の進展にともない情報の取り扱いが容易になると同時にデジタル印刷機が登場し、一部からの可変印刷が可能となりました。品質的には、コピー程度からオフセットレベルのものまであります。(同意語)POD

外字
(1)JISで定められた標準的な文字セット以外に、メーカやユーザが独自に登録した文字のことです。(2)漢字JIS第1水準および第2水準以外の漢字です。

カンプ広告やカタログなどの仕上がりイメージを再現した出力物。写真・コピー・イラストの位置、大きさ、書体など、レイアウトを忠実に再現したもので、おもにデザイナーがクライアントとの最終打合せを行う際にもちいられます。(同意語)コンプリヘンシブ:コンプ

CMYK
印刷でカラー画像を再現するには、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)と黒(K)の四つの色が必要になり、対応する四つの版が必要になります。

IJ(Ink Jetインクジェット)
インクを微小滴化して拭きつけて記録する方式です。常にインク滴を噴射する連続型、必要に応じてインク滴を吐出するオンデマンド型との大きく二種類に分けられます。インクには水性、油性、溶剤、UVなどの種類があり、着色材も染料や顔料が用途に応じて用いられています。

IPA
イソプロピルアルコールのことです。オフセット印刷の湿し水の表面張力調整剤として使用されますが、Vocに該当するため、使用しない、あるいは使用しても濃度を5%未満にすることが各種の基準で求められています。

SIJ
スーパーインクジェットのことをいいます。産業技術総合研究所(AIST)で開発された技術で、家庭用IJプリンタの1000分の1の体積(フェムトリットル:10)微小液滴を印字できます。

UV
Ultra Violetの略で、紫外光のことです。波長は100~400nmで、可視光よりも短い波長域の光です。印刷・プリント分野では、塗布されたインキやニスなどの重合に紫外光が使用されています。

軽印刷
比較的簡単な方法で印刷をおこなうための製版・印刷システム。謄写版方式が主力でしたが、最近のデジタル化によりワードプロセッサで打ち出した言行から手軽に印刷までおこなることが可能になりました。製本機をつなぎ込むことによって小冊子がインラインで作成可能になりました。

化粧断ち(参照語)仕上げ打ち

シート印刷機
シート状の被印刷物(たとえば枚葉紙)に印刷する印刷機の総称です。(同意語)枚葉印刷機

通し数
印刷機に用紙を通して印刷される回数のことで、印刷料金の計算の基礎となる値です。

平版印刷
版面に明確な高低がなく、一平面上に画像部と非画像部と形成されている版をもちいる印刷法のことです。水と油脂とが互いに反発する性質を利用し、非画像部は化学処理によって親水性とし、画像部は写真焼付けまたは、転写によって新油性とし、版面に水とインキを交互に与えて印刷します。現在、平版印刷はほとんどすべてオフセット印刷方式です。(関連語)オフセット印刷

本機校正
実際の印刷機で印刷した校正刷りのことを指します。校正刷りは専用装置(校正機)を使用することが多いが、仕上がり状態を厳密に確認する必要がある場合や、大判のため校正機では刷れない場合などには、実際の印刷機をつかって校正刷りをおこないます。

本紙
得意先が指定した本刷りに使用する用紙のことです。落丁の防止策として使用する試刷り用紙、調肉紙と完全に区別する必要があります。

ウェブマスターペーパー マスターペーパー
軽印刷にももちいられるベースにした刷版の総称のことです。製版は電子写真法によるものと銀塩写真法によるものに分けられます。解像度や耐刷力は銀塩写真法の方がすぐれるが、コストは高くなります。

予備紙
正紙に損紙分として付け加えられる紙のことで、印刷ロットの大きさによって決まります。印刷予備、製本予備、加工予備などがあります。

ミシン刷・目打ち
切取り線として印刷だけのこともありますが、これに1列の穴をあけて、切取りやすいようにすることを目打ちといいます。凸版の場合は、ミシン刷りという突起の連続したけい線を版に組み込んで、印刷と同時に目打ちができる方法もあります。